2023.04.16   【活動レポート】

国連ボランティア中田厚仁氏没後30周年記念行事

明石康国連事務総長特別代表、阪口直人理事と参加したメンバー8名

こんにちは!学生インターンのひよりです。

 

4月5、6日に、国連ボランティア中田厚仁氏没後30周年記念行事が京都芸術大学にて行われました。

阪口直人当団体理事が基調講演に登壇し、インターバンドの学生インターン6名とカンボジアプロジェクトにボランティアとして関わっているメンバー2名は記念行事にボランティアとして参加させていただきました。

 

1993年4月8日、国連ボランティアとして、カンボジアでの自由で公正な選挙の実施のために活動していた中田厚仁さんは、支援準備作業中に銃撃を受けて亡くなりました。その後、明石康国連事務総長特別代表が率いる国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の元、カンボジアでは予定通り選挙が行われ、民主主義の理念に沿った政府が設立されました。

あの事件から30年となる今年、京都芸術大学の京都国際平和構築センターは、国連ボランティア計画、外務省、世界連邦日本国家委員会の支援を受け、本イベントを開催いたしました。

 

イベントには、明石康国連事務総長特別代表をはじめ、国連、国連ボランティア、外務省、各国大使として、国際関係・平和構築・平和維持などの分野で一線で貢献されてきた多くの方々が参加され、基調講演やディスカッションが行われました。

 

阪口理事の基調講演では、私たちがカンボジアクラウドファンディングプロジェクトで新たに作成した絵本「中田厚仁物語 夢は世界を平和にすること」の内容に沿って、中田さんの生涯と彼の想いを、そしてその後のカンボジアの平和・民主主義について考えるお話を拝聴しました。講演中に絵本の一部を読み上げた際には、会場中で拍手が起こり、中田さんの平和への情熱や想いが伝わった瞬間だったのではないかと感じました。

 

インターバンドと中田さん

国連ボランティアとしてカンボジアで活動するための3ヶ月の研修中、中田さんのルームメイトであった当団体理事・阪口直人は、彼のその意思を繋ぐため、これまで活動を続けてきました。

昨年、インターバンドは、中田さんが殉職されたその地にできた学校「アツスクール」に通う、貧しい子どもたちを支援するためのクラウドファンディングを行い、新たな平和教育教材を作成し、その教材を持って、阪口理事とカンボジアプロジェクトのメンバー2名がアツスクールを訪れました。

 

 

明石康先生の基調講演、国連ボランティア計画事務局局長、岸田文雄内閣総理大臣ら政府関係者、外務大臣、国連大学学長らのメッセージなども紹介され、私たちが支援し、ある意味身近に感じてきた中田さんが銃撃されたという事件が、どのように日本の平和に影響を与えたのか、その「平和の象徴」とも言われる所以を、身に染み入るように伝わってきました。

 

 

また、1日目には、4つのグループに別れてディスカッションを行いました。各グループでは、以下の4つの議題に沿ってディスカッションを行いました。

  • グループ1:平和の文化
  • グループ2:国連平和維持活動及び平和構築におけるボランティアの役割
  • グループ3:民主主義と平和の関係
  • グループ4:日本の国連ボランティア 過去・現在・未来
私は、グループ3のディスカッションに参加し、民主主義とは?といった基本的かつ重要な問いについて考えました。「民主主義と平和」という議題は大変難しく、議論しても答えが出るような問いではありませんが、民主主義は決して押し付けられるものではなく、地元の人々がリーダーシップを取り、自決して作り上げていくもので、紛争後の転換期には、急いで選挙を行って選挙を行うことよりも、暫定的な統治機関をおいて長期的に取り組むことが、SDGsで謳われる「持続可能な社会」作りのために重要であると結論づけられました。
二日目の分科会では、中田さんの事件以降、現地で働くボランティアたちの安全確保について、阪口さんが「地元の人たちとの信頼関係を気づくことが重要」と答えていたことは、前日の分科会で、決して外部が押し付けるのではなく、あくまで地元の人々がリーダーシップをとって、社会作りを進めていくべきとの話にリンクしたものを感じました。現場での、ボランティアや介入する側としての立場についてとても考えさせられるディスカッションとなりました。

 

1日目の最後に行われたレセプション、2日目のお茶会、京踊り観劇などの時間には、私たちも登壇者、参加者の皆様とお話させていただいたり、写真を撮っていただいたりと、これまで平和構築・維持といった分野で第一線で活躍してこられた方々と交流することができ、参加したメンバーは口を揃えて「この場にいられることを光栄に思う」と話していました。私たち学生も、こういった方々の背中を追って、地道に活動を続けていきたいと心の底から感じられる、大変素晴らしい機会となりました!